おすすめの一冊
「おすすめの一冊」は、小説、紀行文、論文とジャンルを問わず鉄道や交通一般に関係したものの中から選者の一存で気に入った本を順次ご紹介してまいります。中には絶版のものもあるかもれませんがご容赦ください。(原)
1.城山三郎著「盲人重役」
(鉄道大好き)
2.内田百聞著「阿房列車」
3.佐藤信之著「鉄道好きの知的生産術」
4.赤門鉄路クラブ著「紳士の鉄道学」
5.小池滋著「余はいかにして鉄道愛好者となりしか
6.名取紀之著「編集長敬白」
7.舞著「キハ601のカケラ」
(鉄道雑学系)
8.清水潤三著「鉄道雑学事典」
9.藤井弥太郎監修「鉄道ものしり読本」
10.松浦佑次監修「鉄道マニアにおくる本」
11.毎日新聞社編「鉄道の雑学事典」
12.市川潔著「鉄道なんでも事典」
13.雑学乗りもの百科
14.川島令三著「鉄道なるほど雑学事典」
15.川島令三編著「通勤電車なるほど雑学事典」
16.鉄道雑学の本
17.ヒサクニヒコ編「ボクの鉄道あれこれ学」
18.武田忠雄監修「東京の鉄道がわかる事典」
(鉄道事典)
19.日本国有鉄道百年史
20.鉄道小事典
21.目で見てわかる鉄道常識事典
22.佐藤信之著「鉄道業界の動向とカラクリがよーくわかる本」
おすすめの一冊
城山三郎著「盲人重役」
昭和49年日経新聞社より発刊。角川文庫収録。
舞台は長崎県島原半島。半島鉄道重役の屋代による鉄道復興、競合バス免許の取得、観光開発、列車荷重の高規格化など、半島鉄道に次々起こる難問、課題を時には意表をついた行動で解決をしていく様子は、まさに手に汗を握る展開の連続です。鉄道を守る男、一方で家庭を守る妻との間には溝が深まっていく・・そして過労から失明。
失明してからも適切な判断で困難な問題に全力で向かって行きます。
集中豪雨の到来場面では、人命の安全確保と復旧に至る過程も生々しく描かれ、危機における対処法を考えさせられました。
なお、半島鉄道とは島原鉄道のことであり、重役の屋代は、「まぼろしの邪馬台国」を著した宮崎康平氏です。島原鉄道の史実に沿って描かれているいるもので、地域鉄道を考える際のバイブルでもあり、また鉄道の仕事に就いた人にも一読を願いたい一冊。
鉄道大好き
内田百閒著「阿房列車」
新潮文庫、福武文庫収録
「阿房(あほう)と云うのは、人の思わくに調子を合わせてそう云うだけの話で、自分で勿論阿房だなどと考えてはいない。用事がなければどこへも行ってはい
けないと云うわけではない。なにも用事がないけど、汽車に乗って大阪に行って来ようと思う。」の書き出しで始まる阿房列車。国鉄職員のヒマラヤ山系を連れ
てあちらこちらの列車に乗り、その情景が描かれています。でも単なる紀行文ではなく、それこそ列車大好きの百閒先生の人柄が全編に滲む秀逸な鉄道に関する
エッセーとなっており、思わず引き込まれてしまいます。
百閒先生は結構わがままで、それが不思議とまた愛らしく、道中で飲むお酒もおいしそう。

私の鉄道旅で、行く先々で地酒を買い求め、車窓を愛でながら飲むを慣わしはこの本の影響かもしれません。
百閒先生により、いわゆる鉄道マニア、鉄道好きが世に認められ、市民権を得たと言って過言で無いでしょう。その意味でも大切な一冊です。
なお、「第一阿房列車」、「第二阿房列車」、「第三阿房列車」の3部作となっています。
百閒先生を引き継ぐ近年の「鉄道好き」が著した本を以下にしばらく紹介してみたいと思います。
3.佐藤信之著「鉄道好きの知的生産術」
2002年中央書院
佐藤信之氏が鉄道好きであることは、ごく親しい人には知られていたが、本書により「私はこうして鉄道好きになった」と公に明かされた記念的著書です。
鉄道好きのために、鉄道研究をする際のツール、ノウハウが体系的に整理されており、入門者にはもちろん年季の入った鉄道マニアにも必ずや心強い味方となる一冊です。
4.赤門鉄路クラブ著「紳士の鉄道学
平成9年 有限会社青蛙房刊
東京大学鉄道研究会のOBの集まりが赤門鉄路クラブで、その会員が車両や切符、模型やダイヤなど鉄道趣味を超えたマニアぶりを吐露しています。
鉄道史研究で有名な和久田康雄氏やイギリス文学の小池滋氏も寄稿しているマニア垂涎の一冊。
5.小池滋著「余はいかにして鉄道愛好者となりしか」
2007年 ウエッジ文庫
鉄道の紳士学でも書かれていた英文学者小池滋氏の近著。
序章で余はいかにして鉄道愛好者となりしかを時代の変遷と共に説明するとともに、鉄道愛好者であることを誇らしく宣言。鉄道マニアに定年はないことや、鉄道は文化財であることを説く。英米等との鉄道の国際比較も面白い。
6.名取紀之著「編集長敬白」
2008年 ネコ・パブリッシング刊
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名取氏はかのRail Magagin社編集長で、ご自身の同名のブログの一部を編集しなおして本としたもの。
なつかしく、また大変興味深い事実が随所に綴られており、秀逸な写真と文章で読み手を引き付けます。
民主党の前原誠司氏が「鉄道を愛するすべての方々の酒の肴にしてもらいたい、名著です。」との文章を帯書きに寄せており、そうなのか前原さんもそうか鉄道が好きなんだと納得。
7.舞著 「キハ601のカケラ」
茨城県ひたちなか市 みやび出版
ブログから本になったもう一冊。
紀貫之、和泉式部、紫式部、樋口一葉など昔は日記から文学になりましたが、今はブログから本が生まれる時代です。
著者の舞さんは鉄子さん。青春18きっぷを持って廃止ま近かな鹿島鉄道をふらりと尋ねたのがきっかけで、いつのまにか、それもごく自然に廃止された車両の保存活動に奔走していくことになります。
ブログに綴られたそれまでの活動を本としてまとめたもので、一生懸命な姿が折々のエピソードを交えて生き生きと描かれています。
さて、表題のキハ601は鹿島鉄道で活躍していた1936年製造の古豪の気動車。さてカケラとは何でしょう。これは読んでのお楽しみ。
鉄道雑学系
この辺で、「鉄道雑学」のおすすめの本を紹介して参りましょう。
8.清水潤三監修「鉄道雑学事典」
昭和51年 広済堂出版
副題が「マニアの知恵袋」とあるように慶應義塾大学鉄道研究会の諸氏が旅のテクニック、鉄道の謎、鉄道のあゆみなどの多岐に亘る事項をまとめた興味深い一冊。研究会は昭和9年創立の名門研究会。監修の清水潤三氏は文学部教授で同会の会長でもありました。
9.藤井弥太郎監修「鉄道ものしり読本」
昭和57年 廣済堂出版
鉄道雑学事典に続く慶應義塾大学
鉄道研究会の一冊。監修の藤井弥太郎先生は、清水潤三会長の後を引き継ぎ研究会の会長を務めました。「商学部の教授で研究会OB、交通論の教鞭をとる生粋
の鉄道ファン。」と同書では紹介されています。先生は交通経済がご専攻で、たいへん多くのお教えをいただいております。当時既に国鉄線を全線完乗されてい
るお話を伺って私もいつの日か完乗したいと思い努力はしていますが、いつになるやら・・とてもとても。
10.松浦佑次監修「鉄道マニアにおくる本」
昭和53年初版 廣済堂出版
「これで目のつけどころが変わる」と副題がついたこの本は、早稲田大学の鉄道研究会の諸氏によって書かれた本です。慶応大学の鉄道研究会と互いに意識しながら鉄道の面白さを追求している姿に感動します。
「ミスプリントなどめずらしい切符の集め方の傾向と対策」など、面白い記述があります。
監修の松浦佑次氏は、同研究会会長で理工学部教授でした。
11.毎日新聞社編「鉄道の雑学事典」
昭和54年 毎日新聞社
新聞社のうちでも毎日新聞社はたいへん鉄道に関心が深い新聞社だと思う。
これまで「日本の鉄道」、「各駅停車5000駅観光案内版」」、「軽便鉄道」、「さよなら国鉄」や「機関車百年」、「トンネル百年」など百年シリーズなど数多くの鉄道に関する本を出版しています。
古くからの新聞の強みを生かして、往時の記事からも鉄道のトピックスにアプローチしています。
12.市川潔著「鉄道なんでも事典」
昭和51年 大陸書房
著者の市川潔氏は、国鉄で広報誌「とうてつ」、「国鉄」の編集長をされた方で、鉄道のプロ。
大陸書房は、いろいろな本を出していましたが残念ながら倒産して現在はありません。
倒産直後、神田の古書街に大陸書房の新本がたくさん出回っており、私も何冊か買い求めたことを思い出します。
13.雑学乗りもの百科
昭和61年 角川文庫
鉄道から飛行機、船舶にいたる乗り物全般のおもしろ情報が載っています。
14.川島令三著「鉄道なるほど雑学事典」
1998年 PHP文庫
筆者の川島令三氏は鉄道に関する辛口の批評でも知られていますが、鉄道に対する人一倍の思い入れがあり、もっと良くしたいと願ってのこととこの本を読むと良く理解できます。本当に好きでなくてはこのような本は書けません。
しかも続編まで出ているのです。
15.川島令三編著「通勤電車なるほど雑学事典」
2000年 PHP文庫
主として地下鉄等都市鉄道について記述。「鉄道マン仕事の裏側」など興味深い話もあります。
ただ、「営団に比べて都営地下鉄の運賃はなぜ高い?」という話では、「都バスの赤字を地下鉄で埋めるから」とされていますが、これについては疑問がありま
す。なぜならば地下鉄運賃は地下鉄事業単独での原価計算がなされており、バス部門はもちろんのこと、路面電車の軌道部門も別事業として地下鉄事業のの収
入・費用から除外されているはずですから
。
16.鉄道雑学の本
2005年 三笠書房
「山と海に挟まれた神戸を走る阪神・阪急の仁義無き戦いとは」という項目があり、今は阪急ホールディングで一緒になった阪急と阪神ですが、興味あるところです。
「日本初の鉄道運賃は現在の価格にするといくらくらい?」という項目では、当時の米価との差で比較されていてわかり易い。
「ほのぼの列車雪道を行く!唯一残るストーブ列車の光景」として津軽鉄道も紹介されています。
17.ヒサクニヒコ編「ボクの鉄道あれこれ学」
1994年 同文書院
著者のヒサクニヒコ氏、漫画家で、恐竜研究家というかわった肩書きをお持ちの方。
しかし、鉄道はなんと「雑学」の素材にことかかないことであり。それは、鉄道は長い歴史を有し、鉄道は土木・電気・車両・建築など多方面に亘る多くの技術の集積が必要なこと、なんといっても鉄道が人々の生活に密着しているからこそと思います。
でもこれだけ雑学本が出てくると項目にダブりが生じるのはしかたありませんね。
本書は、随所に描かれている漫画、イラストが可愛いおすすめの一冊です。
18.武田忠雄監修「東京の鉄道がわかる事典」
2002年 日本実業出版社
東京のJR,私鉄、地下鉄や路面電車、モノレールについてさまざまな角度から論じられています。
東京とその周辺の鉄道ものしり博士になるには、まずはこの一冊で。
鉄道事典
この辺で、正統派の鉄道事典のご紹介に参りましょう
日本国有鉄道百年史
昭和44年~49年 日本国有鉄道
鉄道を調べるのはなんといっても本書。私
もどのくらい本書にお世話になっている分からないほどです。第1巻から第14巻と通史、年表、索引・便覧の17分冊にわたる本書、欲しくて欲しくて仕方な
かったのですが、当時古書店で20万円余がザラ。復刻版も出て、これも30万円。とうぜん躊躇します。知り合いの古本屋さんにどうしても欲しいのだけ
ど・・・・と話したら何ヶ月かして、「出物あるよ」とのうれしい話。それでも相当な額でした。でも手元にこの本があるのはとてもありがたいと感謝していま
す。(最近の古書価格ではずいぶん安くなっているみたいで、ちょっと悔しいけど)

発刊当時、国鉄関係職員に配られたパンフレット。クリックすると大きくなります。
20.鉄道小事典
昭和40年初版 誠文堂新光社
誠文堂新光社は、私がラジオ少年だった頃、月刊誌「初歩のラジオ」を出版していて、昔から親しんでいた出版社でした。
この鉄道小事典は、初版が昭和40年、サブタイトルが国鉄の車両・列車・線路となっており、当時の国鉄の技術者が執筆しています。
その道の専門家の執筆ですから相当に読み応えがあります。
1980年になって、「最新」と冠がついて、掲載写真も増え内容も見直されて出版されました。今となってはVVVFのような最新の電気項目はありませんが、ほとんどの項目がこの一冊に網羅されており、手元にあると便利。
いつの日か、最新の最新版が出ることを期待しています。
21.目で見てわかる鉄道常識事典
昭和41年 交友社
交友社は、「鉄道ファン」でお馴染みの出版社。国鉄の鉄道学園学生の副読本としての活用も考えられた本で、紙質もよく、カラー写真もあり、あちらこちら見ているだけでも楽しい一冊。
交友社は、鉄道図書館というウエブ上の図書館の運営を行っており、そこでこの本も読むことが出来るようになっています。
ご興味のある方は、http://www.railforum.jp/koyusha/でどうぞ。
22.佐藤信之著「鉄道業界の動向とカラクリがよーくわかる本」
2009年 秀和システム
表題は刺激的ですが、内容はいたって真面目。2009年4月発刊。
JR、大手民鉄の営業状況が一目瞭然。鉄道の仕事や法体系、最近の鉄道の動きを解説しています。
